2011年09月05日
島人たちの唄⑪ 「ぼくと、ぼくらと篠島の夕日」(上)
「ぼくと、ぼくらと篠島の夕日」 は、月刊ぷらざ 2005年2月号に特集記事として掲載されたエッセーに、加筆・訂正したものです。
「いいね、感動した。今度、この島に連れてってよ」
声をかけてきたのは、某博物館の館長、Yさんだった。
昨年の5月、前橋市内で開催したフォト&エッセイ展 『島人たちの唄』 の会場でのことだった。
僕らは2年前から愛知県の三河湾に浮かぶ篠島という離島に通っていた。
僕らとは、僕と友人のカメラマンのO君である。
2人にとって篠島との出会いは、衝撃的だった。
「えっ、この島が、あの島だったのか!」
たまたま愛知県の知人に連れられて行った島だったが、そこは僕らにとっては、まさに聖地だったのだ。
1979年、夏。
この島に2万人を超える若者が全国から押し寄せた。
7月26日、吉田拓郎の 「篠島アイランドコンサート」 である。
翌27日まで、夜通しで歌った曲は全58曲。
朝日が昇るまで叫びつづけたラストの 「人間なんて」 は、ファンの間では、いまだ伝説として語り継がれている。
そのライブ会場となった跡地に立ったとき、熱狂的な拓郎ファンの僕らは、同時に熱いものが体中を駆けめぐるのを感じた。
“あれから4半世紀・・・追ってみたい。夢のつづきを、島の人たちの記憶を”
それから僕は、何かに取りつかれたように、島通いを始めた。
群馬から約500㎞離れた愛知県、車で高速道路を飛ばして約6時間。
僕らは、2年間で12回、島に渡った。
「島が沈んじゃへんかと思ったがね」
「お父さんの肩車で聴いたよ」
「道といわず浜といわず、若者が寝ころんでいた」
「もう一度、拓郎さん来ないかね。よろしく言ってよ」
最初は、そんな当時を述懐する島民の話を聞けるのが嬉しくて通っていたが、いつしか僕らは、スーパーもコンビにも信号機もない “モノのない島の豊かな暮らし” に魅せられていった。
その間、ネットのウェブマガジンで、2人のフォト&エッセイの連載が始まった。
展示会も前橋市につづき、宇都宮市、そして地元愛知県安城市のギャラリーでも開催することができた。
そのたびに、会場にお祝いの花束を贈ってくださったY館長さん。
僕らは、館長さんの 「島に連れてってよ」 の約束を果たすべく、“篠島バスツアー” を企画した。
<つづく>
Posted by 小暮 淳 at 17:29│Comments(3)
│島人たちの唄
この記事へのコメント
小暮さま
先日のブログのことが頭から離れることができず。
胸が苦しい思いです。人の命は本当にはかないものですね。いや生き物すべて。お彼岸近くなりましたね。死して名を残す。生きているうちに名を残したいです。それができない人が大勢います。
先日のブログで、なぜか映画のクライマーズハイを思い出しました。
役名は忘れたけれど高島政伸が突然死したときのことを思い出しました。
あーっ、いつもながらまとまりつきません。
言葉に出来なくて本当に申し訳ありません。
先日のブログのことが頭から離れることができず。
胸が苦しい思いです。人の命は本当にはかないものですね。いや生き物すべて。お彼岸近くなりましたね。死して名を残す。生きているうちに名を残したいです。それができない人が大勢います。
先日のブログで、なぜか映画のクライマーズハイを思い出しました。
役名は忘れたけれど高島政伸が突然死したときのことを思い出しました。
あーっ、いつもながらまとまりつきません。
言葉に出来なくて本当に申し訳ありません。
Posted by 草津っ娘? at 2011年09月06日 01:05
草津っ娘?さんへ
実は、僕は21歳の時に、自分のバンドメンバーを亡くしています。
O君と同じ病気です。
最後に病院を見舞ったとき、彼の枕元には僕のレコードを録音したカセットテープがありました。
「俺、淳ちゃんの歌が大好きだから……」
このひと言のために、今日まで、ヘタな唄を歌い続けています。
実は、僕は21歳の時に、自分のバンドメンバーを亡くしています。
O君と同じ病気です。
最後に病院を見舞ったとき、彼の枕元には僕のレコードを録音したカセットテープがありました。
「俺、淳ちゃんの歌が大好きだから……」
このひと言のために、今日まで、ヘタな唄を歌い続けています。
Posted by 小暮 at 2011年09月06日 01:39
兄上も 昔大音量でLPレコードを 聞いてましたけ
此処のところ
大災害と 地上最悪な原発事故の影響で
不安定な 人が増えた様子
無理もないですがヾ(>Д<)
日本人には 無意識的に 無常感とか ものの憐れ とか有りますからね
拓郎ファンの聖地かぁ…残念ながら 自分には 該当する場所は 無いのですが(;^_^A
ただ バイオリン奏者の 諏訪内晶子さんが 前橋市民文化会館に 来た時に
聴きに行き
Σ(・∀・;) 天才て実在する
と 確信し また同じ場所で 聴きたいと 願ってます
此処のところ
大災害と 地上最悪な原発事故の影響で
不安定な 人が増えた様子
無理もないですがヾ(>Д<)
日本人には 無意識的に 無常感とか ものの憐れ とか有りますからね
拓郎ファンの聖地かぁ…残念ながら 自分には 該当する場所は 無いのですが(;^_^A
ただ バイオリン奏者の 諏訪内晶子さんが 前橋市民文化会館に 来た時に
聴きに行き
Σ(・∀・;) 天才て実在する
と 確信し また同じ場所で 聴きたいと 願ってます
Posted by momotaka at 2011年09月06日 16:25