2010年11月09日
謎学の旅⑫ 「十石犬を追え!」(上)
僕の犬嫌いは、仲間内ではつとに有名です。
大型犬はもってのほか、チワワやマルチーズだって、触れなかったのです。
そんな我が家に4年前、家長の僕の許可なく(家内と娘の策略)、突然、チワワのマロ君がやって来ました。それも、家の中で飼うという(チワワですから当然ですが)。これはもう、生きた心地がしませんでしたよ。
でも、一緒にいると、だんだんと情ががうつるんですかね。気が付いたら、僕が散歩までさせていました。今では、家族の中で、一番心を許せる友になっています。
が、依然として、他の犬はダメです。マロ君のみ平気になりましたが、相変わらず犬はニガテです。
そんな僕が唯一、眺めるのが好きな犬がいます。柴犬です。
自分でも理由は分からないのですが、なんとも牧歌的な味わいがあり、見ていると心が和むんですね(もちろん、触ることはできませんが)。
で、その柴犬のルーツともいえる土着犬の血筋を受け継ぐ犬が、今も群馬県の上野村にいるというのです。
その名は、十石犬(じっこくいぬ)。
昭和30年代に絶滅したと思われていた、幻の日本犬です!
十石犬は中型犬で、毛色は柴色と黒色の2種類。
人間には従順だが、クマやイノシシなどの獲物には、勇猛果敢に立ち向かう気迫があり、古くはマタギ犬(猟犬)として使われていた犬です。
昭和のはじめ、群馬県上野村と長野県佐久町の県境にある十石峠付近で、「すごい犬を見た!」という噂が広まりました。
昭和3年、日本犬保存会の初代会長である斉藤弘吉氏が、地元の猟師から譲り受け、東京へ持ち帰った犬に「十石号」と命名。この犬の写真が当時、新聞や雑誌に紹介され、その素朴な風貌と自然な味わいの深さから “柴犬の最高峰” と称され、柴犬の名を一躍世に知らしめることになりました。
「ああ、十石犬に会いたい!」
知れば知るほど会いたくなる。
犬嫌いの僕が、十石犬とたわむれる夢を見たくらいです。
ところが願いとは、念じていると不思議と叶うものなんですね。
仕事で上野村役場の人と会う機会がありました。
すかさず十石犬の話を切り出すと、詳しい人を紹介してくれると言うではありませんか!
さっそく僕は犬好きのカメラマンを連れて、上野村を訪ねることにしました。
某月某日。
十石犬保存会会長の今井興雄さんが、待ち合わせ場所に指定してきたのは、上野村ではなく、意外にも安中市でした。
コンビニエンスストアで合流。
あいさつもそこそこに、言われるままに付いて行くと、住宅街の一軒のお宅へ入って行きました。
「おおおぉぉぉー、いる~!」
いきなり車から飛び降り、シャッターを切り出すカメラマン氏。
僕には、ただの柴犬に見えますが、彼は 「目が違う! 骨格が違う! 毛質が違う!」 と、興奮しています。
「コイツは、まだ目が明るい。
本来の十石犬は、もっと目に沈みがあるんだ。
さあ、行くよ。ついておいで」
今井さんは、そう言うと、車に乗り込んでしまった。
僕らは、十石犬の故郷、上野村へと向かった。
<つづく>
Posted by 小暮 淳 at 18:12│Comments(2)
│謎学の旅
この記事へのコメント
こんにちは、小暮さん!私も同じ症状(笑)です。どーも犬はみているだけでお腹一杯です。触れないけど気にはなる、ちとやっかいな生物ですね。心の友マロ君は、かわいいんでしょうね。
Posted by ネコ派な、ぴーです at 2010年11月10日 13:50
ネコ派な、ぴー さんへ
ありがとうございます。
さっそく、ぴーさんからコメントがあったことをマロ君に伝えました。
すると彼も、涙をためて喜んでいましたよ(本当です。最近、目がウルウルしてます)。
僕もネコ派です。ネコなら、触れるんですよね。
ちなみにマロ君は、茶毛のロングコート。
鼻筋が通っていて、チワワっぽくないところが気にっています。
ありがとうございます。
さっそく、ぴーさんからコメントがあったことをマロ君に伝えました。
すると彼も、涙をためて喜んでいましたよ(本当です。最近、目がウルウルしてます)。
僕もネコ派です。ネコなら、触れるんですよね。
ちなみにマロ君は、茶毛のロングコート。
鼻筋が通っていて、チワワっぽくないところが気にっています。
Posted by 小暮 淳
at 2010年11月10日 22:25
