2020年01月16日
ショートコラム 「旅のめっけもん」
ブログ開設10周年を記念して現在、不定期にて掲載している 『源泉ひとりじめ』。
2004年4月~2006年9月にわたり 「月刊ぷらざ」(ぷらざマガジン社) に連載された全30回を順次紹介しています。
エッセイには、1話につき1編のショートコラムが併載されていました。
温泉地や旅館で見つけた 「旅のめっけもん」 です。
このコーナーでは、そんな旅で見つけたエピソードの数々を紹介いたします。
エッセイと併せて、お楽しみください。
●旅のめっけもん 「筒描(つつがき)」
「旅籠」 の館内を歩くと、藍色に染められたタペストリーが、所々に品良く飾られているのを目にする。
これは 「筒描」 といわれる江戸時代の中頃より日本各地の紺屋で染められていた木綿布である。
防染糊を筒に入れ、洒脱な図柄を自由奔放に描き、その文様を白揚げする。
さらに、その中の細部の線を細い筒糊で縁取りしてから、顔料で絵画風に色挿しをしたものだ。
この筒描は、婚礼のときにあつらえることが多く、嫁ぎゆく娘のための調度品として 「松竹梅」 や 「鶴亀」 などの吉祥文様が多く表された。
蒲団や夜着、嫁ぎ先の家紋をあしらった風呂敷などに仕立てて、花嫁道具として持たせたという。
<2004年4月 薬師温泉>
●旅のめっけもん 「木造校舎」
国道17号から川古温泉へ向かう途中、高台に今では珍しい新築の木造校舎を見つけた。
新治村立猿ヶ京小学校である。
平成3年に景観条例に基づいて建設されたその美しい校舎は、新治村の伝統的建物である昔の養蚕農家を模した越屋根造り。
校舎中央の多目的ホールには積雪加重を考慮した大断面集成材が使用され、ホール前の8本の丸柱は赤谷川源流から切り出された樹齢100年を越える地元産のスギが使われている。
また、各教室の壁にもスギやカラマツを多用し、温かみのある素朴な空間に仕上がっている。
鉄筋校舎の増築が進められている中、やわらかな感触を持ち、高い吸湿性等の優れた性質を備えた木造校舎の良さが、温かみと潤いのある教育環境づくりとして各方面から見直され始めている。
<2004年5月 川古温泉>
Posted by 小暮 淳 at 12:22│Comments(0)
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