2020年02月18日
源泉ひとりじめ(15) 和みの風が、湖面を渡っていった。
癒しの一軒宿(15) 源泉ひとりじめ
赤城高原温泉 「山屋蒼月(やまやそうげつ)」 前橋市
左が 「手の湯」 で、右が 「島の湯」。
湧き出る泉が、ここで一つになる。
左は鉄イオンを含み、右はメタけい酸を含む。
そして、混合の源泉が生まれる。
本館の裏手にある源泉小屋を下った細流沿いから、遊歩道が始まる。
アジサイに囲まれながら湿地帯を行く木道は、さながらミニ尾瀬の雰囲気だ。
「素人が暇をみてやっているので、整備が遅々として進まない」
と言う主人は、ここにミズバショウを飢える計画らしい。
やがて、湖畔に着いた。
地元では 「原沼」 とも 「ひょうたん池」 とも呼ばれる貯水池だが、なかなか、おもむきのある景色である。
時折、湖面を渡る風が、ゆっくりと私を追い越していく。
遠方に市街地と関東平野を望み、振り返ると本館を有する5,000坪という敷地が、視野いっぱいに広がった。
アジサイ250株、ツツジ5,000株、ヤマユリ400株、モミジ50株……
四季折々の顔を見せる花の庭は、県外から多くの客を呼んでいる。
自慢の露天風呂は、長い階段の渡り廊下の突き当たり。
川の流れを引き込んだ庭園の真ん中で、三日月型をした湯舟が、夕空を映していた。
風の音、水の音に耳を澄ましながら、ぬるめの湯の中で時をやり過ごす。
くせのない、まろやかな湯である。
やがて浴槽から上がり、思いっきり背伸びをすると暗い湖面の向こうで、街の灯りがキラキラと輝いているのが見えた。
まずは、湯上がりのビールをいただこう。
夕食の後は、もう一度、部屋にある昔なつかしい木の桶風呂に浸かりながら、熱燗もいい。
夜景を眺めながら、そんなことを考えていた。
●源泉名:手の湯・島の湯
●湧出量:測定不能 (自然湧出)
●泉温:14.5℃
●泉質:鉄イオン・メタけい酸含有泉
<2005年6月>
Posted by 小暮 淳 at 11:51│Comments(0)
│源泉ひとりじめ