2020年03月29日
源泉ひとりじめ(24) お湯の中に、黒い花が咲いた。
癒しの一軒宿(24) 源泉ひとりじめ
応徳(おうどく)温泉 「宿 花まめ」 六合村(現・中之条町)
「応徳よいとこ 一度はおいで お湯の中にも こりゃ花が咲くよ チョイナ チョイナ~」
思わず替え歌が、口を突いて出てしまった。
歌に合わせて、湯もみ板で湯をもむと、パァーっと浴槽一面に、黒い湯の花が咲いた。
群馬県内に 「道の駅」 は数あれど、温泉宿が併設されている道の駅は、ここだけだ。
道の駅 「六合(くに)」 は、長野原から草津へ抜ける国道292号沿いにある。
右手に観光物産センター、左手には観光案内所と無料休憩所、食事処が一つになった 「六合の郷 しらすな」、奥には日帰り温泉施設 「くつろぎの湯」。
それらに囲まれるようにして、「宿 花まめ」 が建っている。
築128年の古民家を移築した宿は、たたずまいからして、どこか懐かしく、記憶のなかの故郷へ帰った来た気持ちにさせてくれる。
引き戸の玄関をくぐると、重厚な梁(はり) を二重に組んだ天井から、まぶしいばかりの自然光が降りそそいでいた。
大広間の座敷をめぐり、民家棟を抜ける。
すると一変して “洋” のおもむきをもつ山荘棟へ出た。
コンクリート打ちっ放しの吹き抜け、古木をあしらった回廊……
その先は、洋間の客室へとつづく。
この日、通されたのは民家棟2階の和室だった。
昨年4月にリニューアルしたばかりの部屋は、清潔感にあふれていて気持ちがいい。
窓を開けても、ここが 「道の駅」 とは思えないほどの静けさである。
浴室は、男女別の内風呂が一つずつ。
一切、加水していないため、湯はやや熱めだ。
そのために、「湯もみ板」 が置いてある。
湯をもむたびに、沈殿していた煤(すす) のような湯の花が舞い上がり、見る見るうちに湯舟は真っ黒になった。
当然、手も足も、からだ中が、真っ黒けである。
シリーズ24回目にして、初めて黒い温泉に出合った。
なんとも不思議な湯である。
●源泉名:応徳の湯・昭和の湯
●湧出量:50ℓ/分 (自然湧出)
●泉温:54.5℃
●泉質:含硫黄-ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉
<2006年3月>
Posted by 小暮 淳 at 11:49│Comments(0)
│源泉ひとりじめ