2020年08月20日
ウナギと茶柱の共通点
昨日の続きです。
言い伝えとは、先人たちが知恵の文化を後世に伝えたいという思いを込めた口承であり、すべての言い伝えには意味があることを書きました。
しかし中には、意図的に作られた “やらせ” や “でっちあげ” も、ままあるようです。
有名なものでは、「夏の土用の丑の日」 にウナギを食べるという風習。
諸説あるようですが、一般的には江戸時代の蘭学者、平賀源内の発案だったと伝わります。
本来、ウナギの旬は、秋から冬。
産卵前の脂ののった、味が濃くて、こってりしている旬のウナギに対して、夏のウナギは人気がありませんでした。
そこで、ウナギ屋が知恵者である平賀源内に相談したところ、「丑の日だから “う” のつくものを食べると縁起がいい」 という語呂合わせを提言したといいます。
すると大盛況となり、ウナギは暑い夏のスタミナ源として、夏の土用に欠かせないものとなったとのことです。
一種の販売戦略だったのですね。
私たちが、よく知っている言い伝えの中にも、商人が考え出した名コピーが存在します。
「茶柱が立つと縁起がいい」
最近は、インスタントのティーパックやペットボトルでお茶を飲む人が、ほとんどなので、ピンとこない人もいるかもしれませんが、急須に茶っ葉を入れて飲むのが当たり前だった時代には、頻繁に使われた言葉です。
子ども心にも、湯のみ茶碗の中で、ピンと一本だけ立っている茶柱を見た時は、「これは、いいことがあるぞ!」 とわけもなく喜んだものでした。
ところが、この “茶柱が立つ” という現象を吉兆と結びつけたは、商人の苦肉の策だったという説があります。
誰もが知っているように、お茶は最初に摘み取った 「一番茶」 が、一番おいしいのです。
そのため、後から摘んだ 「二番茶」 のお茶は、売れ残りました。
そこで、お茶の産地である静岡の商人が、「どうすれば、この二番茶が売れるか?」 と思案した結果、この名コピーが生まれたといいます。
上質の一番茶に比べると、二番茶は必然的に茎の部分が入り込みやすくなります。
ですから安いお茶ほど、茶柱が立ちやすくなるわけです。
静岡の商人は、これを逆手にとって、売りさばいたのです。
まさに、現代でいう名コピーライターよる演出だったんですね。
現代でも、似たようなことは、多々あります。
バレンタインデーやホワイトデーしかり、各業界が 「〇〇の日」 を設定して、あの手この手で商品を売ろうとしています。
一発当たり、定着すれば、その業界は何百年と安泰となります。
コロナ禍のおり、いかがですか?
不況に頭を抱えているだけではなく、時代を超える名コピーを考えてみては!
Posted by 小暮 淳 at 11:46│Comments(0)
│謎学の旅