2021年03月18日
温泉考座 (74) 「ヒートショックに御用心!」
「ヒートショック」 という言葉を、ご存じですか?
温度差が原因で、血圧が急上昇や急降下をする、とても危険な状態です。
突然死に至る場合もあり、年間の死者が全国で約1万7,000人にのぼるという推計もあります。
冬場、暖かなリビングからトイレ、脱衣室、浴室などに移動すると、血圧が上昇して脳出血や脳梗塞、心筋梗塞を起こす恐れがあります。
急激な血圧の低下は脳貧血も引き起こし、めまいを生じて転倒し、ケガをする原因となります。
最も死亡率が高いのが、全裸になる浴室です。
温泉宿で入浴していると、体を洗わずに脱衣室から直接、浴槽に入る人を見かけます。
マナーとしても失格ですが、それ以上に、ヒートショックを起こす危険をはらんでいます。
浴室に入ったら入浴前に必ず 「かけ湯」 をしてください。
心臓から遠い手や足の末端から湯をかけ、徐々に体を温めます。
下半身は、汚れを流すつもりで丁寧に。
できればシャワーでなく、これから入る浴槽の湯を使ってください。
これには体を温める目的以外に、温泉の泉質に体を慣らす意味もあります。
いよいよ入浴ですが、ここでも注意が必要です。
放流式 (かけ流し) の浴槽の場合、湯が注がれる湯口(ゆぐち)側が熱く、あふれ出る湯尻(ゆじり)側がぬるくなるように設計されているので、湯尻側から入りましょう。
入浴時間は、ほんのり額が汗ばむ程度が目安です。
湯舟から出る時は、急に立ち上がらず、ゆっくりと。
湯上りの水分補給も忘れずに!
一番注意が必要なのは露天風呂で、脱衣室からの直行は厳禁です。
真冬の外気は零下まで下がり、ヒートショックの危険度は最大値と言えます。
それでも入りたい人は、内風呂で十分に体を温めてから屋外に出てください。
冬場の露天風呂は周囲が凍結していることもあります。
足元にも、ご用心!
高齢者、高血圧や糖尿病の患者、肥満気味の人、睡眠時無呼吸症候群など呼吸器官に問題のある人、不整脈のある人は特にヒートショックの影響を受けやすいと言われています。
もちろん、お酒を飲んでからの入浴もご法度です。
<2015年1月14日付>
Posted by 小暮 淳 at 11:57│Comments(0)
│温泉考座