2021年08月26日
ヒーロー or ダーティー
2020年9月
僕は高崎市のフリーペーパー 「ちいきしんぶん」 に、『忠治外伝 末期の酒 「牡丹」 を探しに』 という記事を書きました。
嘉永3(1850)年、国定忠治は関所破りの罪で幕府にとらえられ、大戸 (東吾妻町) の関所近くの処刑所にて磔(はりつけ)の刑に処せられました。
その時、忠治が “末期の酒” に選んだのは 「牡丹(ぼたん)」 という酒だったことを記しました。
2021年3月
僕はスーパーバイザーを務める群馬テレビの番組で、自らがリポーターとなり 『伝説のお大尽 「加部安」 とは?』 という回を放送しました。
忠治が “末期の酒” に選んだ 「牡丹」 という酒を造っていた蔵元が、「加部安」 という人物だったのです。
この一連の流れに、たくさんの方々が興味を持ってくださいました。
その一人が前橋在住のアマチュア落語家、都家前橋(みやこやぜんきょう)さんでした。
創作落語 『末期の酒』 を作り上げました。
その話題は、<国定忠治の最期の一献 落語に> と見出しを付けて、新聞でも報道されました。
(2021年4月14日付 朝日新聞群馬版より)
国定忠治は、群馬県民なら誰もが知る “郷土のヒーロー” です。
もちろん、僕にとっても忠治はヒーローなのですが、必ずも万人にとってヒーローか?というと意見の分かれるところです。
彼は、江戸時代の侠客(きょうかく)ですからね。
“やくざ者” であることにも違いありません。
はたして国定忠治は、ヒーローなのか? ダーティーなのか?
昨日の朝日新聞に興味深い記事が掲載されました。
執筆されたのは、たびたび僕の活動を取材し取り上げてくれている小泉信一記者であります。
<国定忠治 ならず者か英雄か>
<伊勢崎市、生誕200年の催し中止から11年>
記事によれば平成22(2010)年5月、忠治生誕200年の記念イベント開催をめぐり、当時の市長が 「歴史的に評価が分かれている人物に税金をかけるのはいかがなものか」 と難色を示したため、イベントは中止となりました。
忠治への評価への風当たりの強さは、戦後まもない頃にもありました。
ご存じ、『上毛かるた』 です。
初版を発行する際、県民から 「忠治を読み札に採用して欲しい」 との要望が寄せられましたが、「日本の封建制度を支えた侍ややくざは不可」 とするGHQ (連合国軍総司令部) の意向をくみ、採用されなかったいいます。
それでも戦後、歌舞伎をはじめ講談や浪曲、映画と数えきれないほどの作品に忠治は登場します。
やはり忠治には、根強いヒーローとしての人気があったのです。
記事では最後に、対照的なヒーローとして清水次郎長にも触れています。
故郷の静岡市は昨年、生誕200年を記念して動画を配信。
任侠を 「chivalry(騎士道)」 と訳した英語字幕版まで制作し、「ジロチョー」 を世界に発信しています。
はたして、この違いは?
県民性の違いなのでしょうか?
確かに忠治はダーティーではあるけれど、多くの貧しい人々を救っています。
十分にヒーローだと思うんですけど。
完全無欠の潔癖なヒーローより、アウトロー的要素を持ち合わせているほうが、カッコイイと思いません?
みなさんは、どう思われますか?
Posted by 小暮 淳 at 11:40│Comments(0)
│謎学の旅