2022年02月05日
座敷わらしの足音
「小暮さん、ついに出ました!」
開口一番、興奮気味に、そう言いました。
声の主は、ご存じ、新聞記者のKさんです。
このブログでは、もう、お馴染みですね。
彼は妖怪や未確認生物など、不思議なものが大好き。
群馬に赴任早々、僕の著書と出合い、強引に面会を求めてきたほどのガッツの持ち主です。
その彼が、今、夢中になっているのが 「座敷わらし」 です。
<さて私が泊まった部屋は、座敷わらしがよく出るといわれる廊下のすぐ近く。深夜3時。私はもう一度風呂に入った。わらしはいるのだろうか。>
<出会った人には幸運をもたらすという座敷わらし。目撃した宿泊客は 「可愛いです。お菓子をあげるとすごく喜びます」。私はついぞ会えず、残念な気持ちで帰路に就いた。>
(2022年1月4日付 朝日新聞群馬版 「座敷わらし 会えるかな」 より)
場所は群馬県猿ヶ京温泉 「わらしの宿 生寿苑」。
温泉ライターとしてはもちろん、テレビ番組のミステリーハンターとしても、たびたび僕が紹介してきた温泉宿です。
K記者は、この話に俄然、奮起!
カメラを片手に、意気揚々と出かけて行ったのであります。
ところが、ICレコーダーに 「ピクニッ」 という謎の言葉を残しながらも……
<でも恥ずかしがり屋なのかなあ。姿は見せてくれなかった。次回は絶対に会おうね。>
というエンディングに終わってしまったのです。
※(このブログの2022年1月8日 「ピクニックに連れてって……」 参照)
そして、リベンジの時が来ました。
彼は、宿に再取材を申し込んだのです。
「ご主人も、あの声には驚いていましたよ。こんなにハッキリと聞いたのは初めてだと」
「で、ついに出たって?」
「そうなんです。夜中ですよ。私の部屋の前の廊下を、タタタッて、足音が聞えたんです」
「足音?」
「ええ、あれは絶対に子どもの足音です!」
「ということは?」
「座敷わらしです!」
彼の興奮は、ピークに達したようです。
これは、クールダウンをさせねば……
「足があるということは、幽霊ではない」
「座敷わらしは、妖怪ですから」
「……」
「でも足音は聞いたけど、姿は見てないんだよね?」
「そこなんですよ、残念なのは」
「座敷わらしは、見た者だけが出世をしたり、お金持ちになったり、幸運をもたらすんだよね?」
「ええ」
「前回は声、今回は足音。なかなか会えませんな」
少しはクールダウンしたかと思いきや、
「もう一度、行って来ます!」
この懲りないところが、根っからの記者魂なんですね。
いいぞ、Kさん! 行け行け~!
次回は、座敷わらしとのツーショット写真入りの記事を待っています。
Posted by 小暮 淳 at 11:47│Comments(0)
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