2022年05月01日
白い糸の伝説
《人は生まれながら 赤い糸で結ばれている
そして いつかは その糸をたどって めぐり会う
しかし その糸は 細くて 弱い》
(NSP 「赤い糸の伝説」 より)
“赤い糸” といえば、それは、運命的な恋の相手との出会いのこと。
その相手とは、小指と小指が見えない糸で結ばれているそうです。
なーんて、若い頃は、理想の相手を夢見ていたものです。
でもね、そんなロマンチックなものじゃ、ありませんって!(笑)
たとえ結ばれていたとしても、引っ張れば切れちゃうし、グチャグチャに絡まるし、気が付いたら色が変わっていたりしますからね。
“あばたもえくぼ” で、本当は黒い糸が赤く見えていただけなのかもしれません。
閑話休題
実は先日、呑み屋のカウンターで常連客らと、ひょんなことから 「白い糸」 の話になりました。
話の発端は、こんな感じです。
「夜泣き、疳(かん)の虫、宇津救命丸」
「なに、それ?」
と比較的若い客。
「昔の薬のコマーシャルだよ」
すると年配の客が、
「あったね、子どもに飲ませる薬」
「夜泣きは分かるけど、疳の虫って何?」
「疳の虫、知らないの?」
「いや、聞いたことはあるけど、見たことはありません」
すると、
「見たことあるよ」 「俺も見た」 「私もある」
そして、誰かが、
「昔、出して遊んだよな?」
と言えば、
「遊んだ!」 「やった!」 「出した!」
と、大いに盛り上がりました。
疳の虫とは、いわゆる赤ちゃんの 「ぐずり」 のこと。
昔は原因が分からなかったので、赤ちゃんや小さな子の体の中には、疳の虫がいると信じられていたのです。
だから、どこの町にも、ちょっと、うさん臭い 「まじない師」 がいて、「虫切り」 「虫封じ」 「疳封じ」 なんていう儀式が行われていました。
その時に用いられたのが、“塩” でした。
「手に塩をすり込んでな」
「そうそう、するとニョロニョロって」
「ええ~、何が出て来るの?」
「糸だよ、白い糸」
「そう、それが疳の虫の正体なんだよ」
でも、あれって、何だったのでしょうか?
白い糸の正体って?
ということで、この歳になっても僕の体の中に疳の虫がいるのか、実験してみることにしました。
やり方なら覚えています。
①まず石けんで、よく手を洗う。
➁両手に適量の塩を塗り、よく揉む。
➂きれいに塩を洗い流し、タオルで水分を拭きとる。
④親指を中に入れて、両手を強く握る。
⑤そのまま約3分待つ。
⑥両手をゆっくりと広げる。
すると不思議や不思議、両手の指の先からニョロニョロと白くて細い糸のような物が、揺れているではありませんか!
長いものでは1~2cmほどありました。
というのは、子どもの頃の話です。
今回、同じようにやってみましたが、僕の手の指先からは、何も現れませんでした。
大人になって、疳の虫もどこかへ行ってしまったようです。
ぜひ、みなさんも挑戦してみてください。
もしかすると、まだ疳の虫が棲んでいるかもしれませんよ?
え、疳の虫じゃなくて、そりゃ、「癇癪(かんしゃく)の虫」 だって!?
お後が、よろしいようで……
Posted by 小暮 淳 at 11:41│Comments(0)
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