2020年07月13日
温泉考座 (8) 「性欲を捨て聖浴に徹すべし」
某温泉旅館を取材したときのことです。
貸切露天風呂の壁に、こんな貼り紙を目にしました。
宿の主人からのメッセージでした。
<幸せなふたりへ>
そう書かれた木の扉が付いた箱が掛かっており、開けてみると、中にはキスをしている男女のイラストが描かれています。
そして、こんなコメントが添えられていました。
<ここまでにしてね♥>
尋ねると、主人は、こんなことを言いました。
「若いカップルには、困っています。平気で風呂の中で、始めちゃうんですよ。声がうるさいって、近所から苦情が来るんです」
さらに、最近は 「部屋に避妊具が置いてない」 という客からのクレームも増えた、と困惑している様子でした。
以前、貸切風呂のことは 「家族風呂」 と呼ばれていました。
お年寄りや身体の不自由な人など、介護が必要な人たちが家族と一緒に入るために造られた浴室だったのです。
最近の若い男性は、彼女をデートに誘いやすいため、温泉地を利用することも多いそうです。
「温泉旅館を何だと思っているんでしょうね。ラブホテルじゃないんですから」
と話す女将もいました。
温泉地は、その昔、源泉の湧き出る所に湯小屋が建つ、純粋に湯浴(あ)みだけをする湯治場でした。
やがて周りに宿泊を目的とする木賃宿ができ、湯治客は自炊をしながら滞在するようになりました。
しかし、高度経済成長の波に乗り、大型バスで団体客が温泉地へ、なだれ込むようになると、どの旅館も湯量に見合わない大浴場や、湯温が低ければ加温しなければならない露天風呂を次々に造りました。
バブル経済崩壊後は、富裕層をターゲットにした豪華な露天風呂付きの部屋を売りにする高級旅館が目立つようになりました。
そこには、もう湯治場の風情はありません。
浴客に、こびる。
その延長線上に、“温泉宿のラブホテル化” があると思うのです。
温泉では、湯を楽しんでほしいと考える 「源泉至上主義」 の私は、この風潮を憂え、あえて、こんな標語を唱えています。
『浴場で欲情するべからず』
『性欲を捨て聖浴に徹すべし』
<2013年5月22日付>
Posted by 小暮 淳 at 12:12│Comments(2)
│温泉考座
この記事へのコメント
昼食中に、弁当を食べながらダジャレを考えました。
「湯尻でyou尻を出すな」
「湯浴み着と間違えてyou網着を着て遊ぶな」
「湯中ぶらぶらをYouTubuで流すな」
結構きわどいので、削除してもらっても構いません。
「湯尻でyou尻を出すな」
「湯浴み着と間違えてyou網着を着て遊ぶな」
「湯中ぶらぶらをYouTubuで流すな」
結構きわどいので、削除してもらっても構いません。
Posted by ヒロ坊 at 2020年07月14日 12:43
ヒロ坊さんへ
さすが、ヒロ坊さん!
いつも、ユーモアのセンスが光っています。
ちなみに個人的には、「You尻」 が好きです。
「You、尻なんて見せちゃいなよ!
なーんて言う、ジャニーさんの声が聞こえてきそうです。
さすが、ヒロ坊さん!
いつも、ユーモアのセンスが光っています。
ちなみに個人的には、「You尻」 が好きです。
「You、尻なんて見せちゃいなよ!
なーんて言う、ジャニーさんの声が聞こえてきそうです。
Posted by 小暮 淳 at 2020年07月14日 22:27