2020年08月19日
臍隠して指隠さず
♪ 夕立 そこまで来ている 雷ゴロゴロピカピカ
情け容赦ないみたいだ
誰もが一目散へと どこかへ走る
カエルはうれし鳴きをしている
(井上陽水 「夕立」 より)
ザーッと、ひと雨くれば、いいのですが……
僕が子供の頃は、毎日決まって夕方になると、通り雨のような夕立が来ました。
広場や神社の境内で遊んでいると、急にモクモクと入道雲が湧き上がって、田んぼのカエルが一斉に鳴き出します。
やがて、ポツポツと大粒の雨が降り出し、突然、ザーッと激して雨が子供たちを襲います。
追って、耳をつんざくような雷鳴がとどろき、僕らは一目散に木陰や民家の軒下に逃げ込んで、まるで鬼の過ぎるのを待つみたいに、ジーっとしているのでした。
それでも20~30分もすると、雨は止み、また青空が顔を出します。
そして僕らは、また遊び出しました。
夕立の後は、気温が下がり、しのぎやすかったことを覚えています。
なのに今は、まったく夕立が来ません。
たまに来ても、それは夕立ではなく、集中豪雨です。
なんだか地球が、おかしなことになっているようです。
雷といえば、子供の頃、よく親に 「雷が鳴ったらヘソを隠せ」 なんて言われました。
なんで、そんなことを言うんだろう?
雷様は、ヘソが好物なのかな?
なんて思っていましたが、大人になったら、その意味が分かりました。
雷が発生して、にわか雨が降ると、急激に気温が下がるからなんですね。
だから寝冷えをしたり、風邪を引かないようにと、腹巻をして寝たんですね。
昔の人たちの知恵です。
言い伝えとは、必ず、意味が隠されているということです。
隠すといえば、「霊柩車を見たら親指を隠せ」 とも言われました。
「なんで?」 と大人たちに問えば、「親の死に目に遭えなくなるから」 と教わりました。
「ウソだい。ただのジンクスだよ」 と思いながらも、子供たちは、霊柩車を見ると親指を掌の内側に入れて、隠したものでした。
この言い伝えの謎は、ただ大人になっただけでは解けませんでした。
ここからは、僕が民話や伝説を取材しながら拾った雑学です。
霊柩車は、“死” を意味します。
死は不吉なものであり、不浄なものと考えられていました。
この死者の霊を入り込ませないようにする “おまじない” だったと考えられます。
では、なんで親指なのか?
昔、疫病や悪霊は、親指の爪の間から入り込むと信じられていたようです。
たぶん、これに起因して、霊柩車を見たら親指を隠すようになったと思われます。
そして、親指と親をかけたのでしょうね。
もちろん、霊柩車は現代に置き換えた言葉です。
昔は 「葬列に出遭ったら」 だったに違いありません。
言い伝えって、面白いですね。
現代では、雷が鳴っているさ中、ヘソを出している人なんて、滅多にいません。
でも、霊柩車を見て、親指を隠す人は、どれだけいるのでしょうか?
僕は、ちゃんと親指を隠していましたよ。
だから両親の死に目に遭えました。
Posted by 小暮 淳 at 10:49│Comments(2)
│謎学の旅
この記事へのコメント
「くわばらくわばら」ですね。
これも恐ろしい呪文です。
因みに・・・
小柳ルミ子の「ひと雨くれば」が大好きです。
これも恐ろしい呪文です。
因みに・・・
小柳ルミ子の「ひと雨くれば」が大好きです。
Posted by T課長 at 2020年08月19日 11:15
T課長さんへ
お久しぶりです。「ひと雨くれば」 いいですね!
最近、YouTubeで聴きました。
若い頃のルミ子さんは、本当にきれいだった。
(今でも歳の割には美しいですが)
日本の夏は、昭和歌謡が似合いますね。
お久しぶりです。「ひと雨くれば」 いいですね!
最近、YouTubeで聴きました。
若い頃のルミ子さんは、本当にきれいだった。
(今でも歳の割には美しいですが)
日本の夏は、昭和歌謡が似合いますね。
Posted by 小暮 淳
at 2020年08月19日 17:21
