2020年08月30日
温泉考座 (23) 「いい温泉の選び方」
ここ数年、企業や団体から講演やセミナーの講師に招かれることが多くなりました。
もちろん、講話のテーマは “温泉” です。
講話の最後には、聴講者との質疑応答の時間があります。
一番多い質問が、「いい温泉の選び方」 です。
なかには、そのものズバリ 「一番いい温泉を教えてください」 という人もいます。
これは、とても難しい質問です。
そんなとき私は、こんな話をします。
「みなさんは、一番おいしいラーメン屋はどこですか? と聞かれたら、なんと答えますか?」 と。
“おいしい” とは主観であり、味の好みは人により異なります。
スープだけでも、しょうゆ味なのか、みそ味なのか、塩味なのか、とんこつ味なのか?
さらに、細麺、太麺、ちぢれ麵と、麺にも好みがあります。
“おいしさ” の基準は、人それぞれです。
温泉も同じです。
サラリとしたクセのない単純温泉、白濁した香り豊かな硫黄泉、ソーダ水のような泡の付く二酸化炭素泉、赤褐色ににごった含鉄泉など、好きな温泉の種類は人により異なります。
でも、おいしいラーメンと、いい温泉には、共通していることがあります。
それは、鮮度です!
作って何時間も経ったラーメンを出したのでは、スープは冷め、麺はのびてしまいます。
どんなに腕の良いラーメン屋でも、作り立てを出さなければ意味がありません。
温泉も同じで、湧き立ての湯に入れる温泉が、最高に “いい温泉” なのです。
温泉は、地上に出た瞬間から劣化が始まります。
空気に触れ、酸化し、時間の経過とともに老化していきます。
また空気に触れた瞬間から、温度の低下も始まります。
ですから、より短い時間と距離で浴槽に湯を流し入れた温泉が、一番いい温泉ということになります。
ラーメンには、手打ち生麺で作ったラーメンもありますが、手軽に食べられるインスタントラーメンやカップラーメンもあります。
どちらもラーメンには、違いありません。
温泉も同じです。
おいしいラーメンを探すように、みなさんも自分のお気に入りの温泉を探してみてください。
<2013年9月25日付>
Posted by 小暮 淳 at 10:57│Comments(0)
│温泉考座