2021年08月16日
怪談 「猫の怨念」 他一話
今日8月16日は盆明け、送り火の日です。
今頃、ご先祖様たちは、ナスの精霊牛に乗って、黄泉の国へ帰る準備をしていることでしょう。
お盆最後の日ということなので、今年も恒例の怪談話をお届けします。
身の毛もよだつ、恐ろしい生き物たちの話です。
【亀の呪い】
ある村のはずれに廃寺があり、境内の奥に小さな池がありました。
この池には、何万年も生き続けているという大きな亀が棲んでいました。
でも誰一人、この亀の姿を見た者はいませんでした。
ある夕暮れ時のこと。
一人の若者が、この廃寺の前を通りかかると、ガサゴソ、ガサゴソと草を踏みしめるような音が聞こえてきました。
「もしかしたら伝説の亀が現れたのかも……」
と若者は、恐る恐る池に近づきました。
すると、池のほとりの草むらの中から長い鎌首を持ち上げた大きな亀が、こちらをにらめつけています。
「で、で、出た~!」
大声を上げた途端、若者は腰を抜かして、動けなくなってしまいました。
「もうダメだ、おいらは、あの亀に食い殺されてしまう」
と覚悟を決めて、念仏を唱え出しました。
ところが、一向に亀は、こちらへやって来ません。
ノッソ……ノッソ……
それを見て、若者は言いました。
「亀の歩みは “のろい”」
【猫の怨念】
大阪・道頓堀の一角に大きな屋敷がありました。
夜、その屋敷の前を通ると、赤ん坊の泣き声が聞こえてくると噂になっていました。
ある晩のこと、酔っぱらいが屋敷の前を通りかかりました。
「オギャー、オギャー」
屋敷の中から赤ん坊のような泣き声が聞こえてきます。
「こんな夜中に、赤ん坊が一人で庭にいるわけがない。どれどれ、確かめてやろう」
と酔っぱらいは、塀をよじ登りました。
そして、塀の上から屋敷の中をのぞくと……
一匹の黒猫が、こちらを見て、鳴いています。
「オギャー、オギャー」
酔っぱらいは言いました。
「そこに猫が “おんねん”」
おあとが、よろしいようで。
チャンチャン!
Posted by 小暮 淳 at 11:38│Comments(2)
│謎学の旅
この記事へのコメント
背筋がゾ~~っとしました。
Posted by 繭リン at 2021年08月19日 17:50
繭リンさんへ
ありがとうございます。
繭リンさんのような読者がいると、ブログを書く張り合いがあるというものです。
今後とも広~い心で、お付き合いください。
よろしくお願いいたします。
ありがとうございます。
繭リンさんのような読者がいると、ブログを書く張り合いがあるというものです。
今後とも広~い心で、お付き合いください。
よろしくお願いいたします。
Posted by 小暮 淳
at 2021年08月19日 19:03
